アナボリックステロイドを使用する場合、所属する団体がどのように対応しているかを事前に調べておく必要がある。わけもわからずにに利用し、万がードーピングテストでアウトになれば選手生命が絶たれる可能性があるからだ。それだけでなく社会的な名声や将来約束されていた収入も得ることができなくなる。良い例がソウルオリンピックのベン・ジョンソンであろう。彼は金メダルの剥奪だけでなく、得ることができたはずの巨額な収入も同時に失ってしまった。しかし彼がこのようになったのはアナボリックステロイドを使用したからではない。
ドーピングテストでアウトになったことが原因なのである。なぜならある程度の知識と事前準備があれば、テストをクリアすることが可能だからである。各種禁止薬物の使用者の中にはテストでアウトになるのが間抜けと豪語する者もいる。実際、旧共産圏では国家ぐるみで各種薬物の効果とテストの突破方法を研究していたようだ。ただしオリンピックのような国際大会では、必ずしもテストでアウト=失格というわけではないようだ。国際政治上の諸問題や、さまざまな背景や理由によりテストでアウトでも公表しなかったり、いったんアウトでも簡単に覆されたりしているのが現状であろう。要は公正なはずのテスト自体完全には機能していないようにみえる。
ボディービルに目を向ければ、世界最大のIFBBはドーピングを黙認している。他方では自称、厳粛にドラッグテストを導入しているとクリーンさをPR前面に押し出している団体も複数あるようだが、「うそ発見機」によるテストなどジョークとしか思えないところもある。
日本では現在JBBF、JPC、NBBFの3団体があり、いずれもナチュラル団体ということになっている。JBBFのみが日本で唯一のIOC公認機関である「三菱化学ビーシーエル」のテスト結果に基いて、判断を下している。他の団体海外の研究機関でテストを依頼しているようだ。 国内では全団体が厳粛にナチュラルを貫いてはいるようだが最も理解に苦しむのはJBFである。なぜならば、属する上位団体IFBBがナチュラル団体ではないからだ。IFB公認のプロの資格を得るには、日本人ではミスターユニバースでクラス優勝をするしかない。しかし国内の選抜大会で勝利したところで、ユニバースでは全く歯が立たない。いくら階級別とはいえ、全クラスリミットぎりぎりまで薬物を使い、筋量を残している。もはや日本人では優勝は非常に困難であり、勝てたとしても軽量級であって、これではプロになってもサイズで歯が立だない。 このような事情で、最近海外コンテストを狙う日本人ビルダーが多いのであろう。
しかし彼等がプロカードを狙っているのかどうかはわからないが、基本的にユニバースで勝つしか日本人はプロになれないはずである。
日本で3団体のコンテストに出るならば、基本的にはステロイドの使用は禁止されており、使えない。ただしテストを突破する方法は現実にはあり、実戦している選手もいると思われる。
セレクトするドラッグは経口剤のアナボリックステロイド、テストステロン、成長ホルモンがメインになる。人気のあるデカは使用を止めてから1年経過しても、その代謝物が容易に検出されるのでまず使えないし、使わないのが原則だ。要は体内の滞留期間が長いものはそれだけ、体内にとどまるので容易に検出されるのである。
ドラッグテストがある、アスリートにはテストステロン、成長ホルモン、インシュリンを使うのは常識になっている。成長ホルモン、インシュリンは尿検査では検出は出来ない。テストステロンはそもそも体内にあるが、(こういったらきりがないが)合成テストステロンは容易に検出されるし、テストステロン/エピテストステロンの比率を崩すのでテスト当日には完全に体内から抜けており、かつホルモンバランスが正常範囲に留めていなければならない。
基本的は体内から早く抜けるものを使うことである。テストステロンではプロピオネイトエステルやエステル化されていない水溶性のサスペンションが良いであろう。4つのテストステロンエステルの混合剤であるサスタノンは使わないほうが良い。なぜならテストステロン・デカノエイトエステルが含まれており、これは1ヵ月間作用するので体から抜けるのが遅いからだ。
各ステロイドにより滞留期間が異なるのと、各人の代謝も違うのでなかなか一筋縄ではいかないのが現実であり、それこそ企業秘密といえる。
ただし、この方法は日本では唯一JBBFが行っている、「抜き打ちテスト」には全く効果がない。コンテスト当日ではなく、主にオフシーズンに不意にドーピングテストのご指名がかかるのだ。そのときがサイクルのしかも投薬量のピークの時期ならば、どうしようもないのである。「抜き打ちテスト」こそ最も効力を発揮するドーピングテストであろう。現在海外で活躍する日本人ビルダーの中にも過去、この方法でアウトになった人がいる。ただし、とんでもないパルクをもった人にしかご指名はこないので、発展途中の人にはあまり関係はないかもしれない。
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